独立社外取締役と機関投資家の対話について

当社は、会社情報の適時・適切な開示と継続的なコミュニケーションを通じて、株主・投資家との建設的な対話を行い、相互信頼の関係を構築することをコーポレートガバナンスガイドラインで定めており、その一環として、社外取締役と機関投資家の皆様とのラウンドテーブルを実施しました。

2021年3月開催

参加投資家:17社25名
参加社外取締役:
木村康取締役会議長
豊田正和指名委員会 委員長
井原慶子報酬委員会 委員長
永井素夫監査委員会 委員長
ベルナール デルマス
アンドリュー ハウス
ジェニファー ロジャース

開催方法/場所:オンライン

質疑応答要旨

ガバナンス体制の改善状況と今後の課題及び取締役会の実効性についてどのように評価されているか。

2019年度は指名委員会等設置会社に移行し3委員会が発足して方針や原則を定め、2020年度は各委員会がより戦略的に機能している。
取締役会や委員会は多様性のあるメンバーで活発な議論が行われているほか、執行サイドとのコミュニケーションもしっかりとっており、実効性は確保されている。
現在の最大の課題はNissan NEXTの成果を上げることであり、業績向上や中長期的な戦略についても深く議論している。

指名委員会の今後の課題・次の時代を担うリーダー人材の育成について教えてほしい。

指名委員会の3大重要案件の一つが次世代のCEO、後継者育成の計画作成であり、1年ぐらい前から、どういう要件を兼ね備えた人材を次世代のCEOとして育てていくか議論してきた。ベストプラクティスと言われるような会社の話も聞きながらプログラムを作る佳境に入っており、今後さらにスピードを上げて実行していく。
日産には、潜在力の高い次世代のリーダー候補者がそろっている。

気候変動対応の取り組みに対する評価。また、取締役会でどの様な議論があり、社外取締役としてどのようにモニターしているか。

今後は気候変動が最重要課題の一つになる。日産は2050年カーボンニュートラルに向けた取り組みを発表したが、電動化や生産技術のイノベーション等、2030年代までにやるべきことがある。電動化における強み、コアコンピテンシーを活用し気候変動に対応するための戦略を決めていくことになる。

持続的成長軌道に乗せ、長期的な視点で企業価値を向上させていくための課題を社外取締役として、どのように認識しているか。

業績は回復しつつあるが、長期的な会社の持続性のためにはまだ不十分であり、台数を伸ばして利益ある成長を果たすということが重要。それを達成するには、会社としてどのような価値を提供できるのかを考え、新しい中期計画に織り込んでいく必要がある。

3社アライアンスについて、独立社外取締役として意識している点や議論された点は。

少数株主の利益保護は独立社外取締役の役割。日産は利益相反の解消のための指針を策定しており、監査委員長がグループ長を務める利益相反解消グループでその運営を行っている。アライアンスは重要なアセットであり、執行サイドがこのアセットを十分に活用して企業価値向上に活かしているかが重要。コンフリクトが発生していないか、少数株主にとってもメリットがある話なのかということをモニタリングしながら中立的な立場で監督している。

取締役会だけでなく執行役員レベルのダイバーシティも重要だが、取締役としてどう考えているか。

CEO、COOはダイバーシティ&インクルージョンの活動にも積極的だが、現場はまだ女性が少ない。日本企業の中ではダイバーシティー&インクルージョンのリーダーでもあると思うが、日本国内においても更にダイバーシティを進めていけるよう、取締役レベルだけでなく、執行レベルでも人事も含め話し合っていくべき。

2020年9月開催

参加投資家:12社12名(6名ずつのセッションを2回実施)
参加社外取締役:
木村康取締役会議長
豊田正和指名委員会 委員長
井原慶子報酬委員会 委員長
永井素夫監査委員会 委員長

開催方法/場所:当社グローバル本社

質疑応答要旨

指名委員会等設置会社に移行して変わった点。

取締役会が以前は30分程度だったのが、今は3-4時間、さらに事前ミーティングも含めると7-8時間かかっている。また、多様性をもった取締役会になったことにより議論が活性化した。

資本コストを上回るリターンを上げて市場を満足させ続けるための体制作りについて。

事業構造改革により、「量から質」の転換と「選択と集中」を行うとともに、アライアンスを活用して利益率を追求していく。

事業構造改革計画「Nissan NEXT」の策定における社外取締役の役割。

月1の取締役会だけでなく、独立社外取締役委員会や臨時取締役会などで議論を重ねた。執行側が作った案へのフィードバックや利益相反の有無の確認などを行った。

長期のビジョンや成長戦略の作成の予定は

長期のビジョンを作って次の中期計画につなげるということを早急に進めたいが、重要なのは中身。自動車会社の企業価値を決めるのは技術であり、そのシーズを日産はかなり持っている。

役員報酬にESGといった長期の目線は入っているのか。

ESGという項目にはなっていないが、Nissan Wayを実行できているかというのが報酬の一部になっている。業績やNissan Wayなど様々な要素がバランスよく入るよう設計されている。